葬儀の知恵袋(コラム)
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2023年2月9日(木)
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散骨とは?種類やメリット・デメリットを紹介
散骨とは、ご遺骨をパウダー状に砕いて海や山に撒くことです。
散骨とは、お墓や納骨堂に遺骨を納める従来の供養方法とは一線を画す新しい供養の形です。
お墓や納骨堂などに納骨せず、こうすることを選んだ場合、費用が抑えられるメリットがある一方で、周囲の理解が得られない可能性やお墓参りができないというデメリットもあります。
散骨とは ?
お墓や納骨堂に遺骨を納める従来の供養方法とは一線を画す、新しい供養の形「散骨」。お骨を撒く葬送方法だということは知っていても、詳しいやり方はわからないという方も多いのではないでしょうか。
散骨をするためには、はじめに遺骨を2mm以下に砕く「粉骨」という作業を行います。この作業を行わずに散骨すると、法律違反となり罰せられる可能性がありますので、必ず粉骨してから散骨します。
詳しくは後述しますが散骨を行う場所は、海や山林などが一般的です。撒いたお骨はその場にとどまらず、波や風によってあちこちに運ばれ、遺骨の痕跡はなくなります。
日本の法律では散骨を禁止していませんが、一部の地域では条例を定め、散骨を禁止したり制限したりしています。条例で定められていない地域であれば散骨を個人で行うことも不可能ではありませんが、近隣住民や事業者とトラブルになる可能性があるため、不用意に行うことはやめましょう。
散骨のメリット・デメリット
お墓や納骨堂などに納骨せず、散骨することを選んだ場合、考えられるメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは散骨のメリットとデメリットをご紹介します。
散骨のメリット
①費用が抑えられる
新しくお墓を建てる場合、総額100万円以上の費用が必要となることも珍しくありません。お墓よりも低価格で利用できることが多い納骨堂を用意する場合でも、30万円程度の費用がかかることが一般的です。散骨は業者が代行する代行散骨で30,000円程度から利用することができるため、お墓や納骨堂に比べて費用を抑えることができます。
②維持費を必要としない
お墓や納骨堂は一般的に、管理費や修繕費などの維持費が必要となりますが、散骨は維持費を支払う必要はありません。
③継承者に負担がかからない
お墓や納骨堂に納骨した場合、継続的に管理する必要がありますが、散骨した場合はその後の管理が必要ないため、子供や孫などの継承者に負担をかけることがありません。また、継承者がいない方も安心して利用することができます。
散骨のデメリット
①周囲の理解が得られない可能性がある
お墓や納骨堂に納骨するという供養方法を常識としている方は、遺骨を自然の中に還す散骨という葬送方法に違和感を持つことがあります。そのため、自分自身が散骨を希望しても家族の同意が得られないケースや、家族は同意しても親族が反対するケースがあるなど、周囲の理解を得ることが難しい点はデメリットといえるでしょう。
②お骨を取り戻すことができない
散骨をすると、当然ながらお骨をもとに戻すことはできません。後になってから「お骨が無いのは淋しい」「やっぱり散骨しなければ良かった」と思っても取り返しがつかないので、家族でよく話し合って検討する必要があります。全ての骨を散骨せずに一部を手元に残すという方法もあります。
③お墓参りができない
散骨をするということはお墓を持たないということなので、お墓参りをすることができません。お墓参りに行くことを希望する人にとって、散骨は不向きといえるでしょう。ただし、散骨した海にお参りをするためのクルージングを行っている散骨業者もありますので、そのようなサービスを利用してお参りをすることは可能です。
散骨の種類
散骨には、海で行う「海洋散骨」、山林で行う「山林散骨」、お骨を打ち上げて行う「宇宙葬」があります。それぞれ詳しくご説明します。
海洋散骨
海に遺骨を散骨する葬送方法を「海洋散骨」といいます。海であればどこに散骨しても良いかといえばそうではなく、近くに民家や商業施設がある場所、漁場、海水浴場などの付近では散骨せず、船で沖に出て散骨することが一般的です。
散骨では小型・中型・大型のクルーザーが使われることが多く、いずれの場合も散骨を目的とした乗客・スタッフのみが乗船します。観光や釣りを目的とした乗客が乗船する船から散骨することはできません。
海洋散骨を行う専門業者は、クルーザーを貸し切って行う「チャーター散骨プラン」、複数の家族が乗船して合同で散骨を行う「合同散骨プラン」、依頼者は乗船せずにスタッフが代わりに散骨を行う「代行散骨プラン」など、複数のプランを用意している場合があります。プランによって費用が異なりますので、どのような散骨プランを利用すれば良いか事前に検討することをおすすめします。
船を所有していて自分で散骨に行くことが可能な場合や、知人が船を持っていて散骨に協力してくれる場合もあると思いますが、条例を調べたり撒いて良い場所を把握したりしなければならず、慎重に準備する必要があります。
山林散骨
山林に散骨する葬送方法を「山林散骨」といいます。ご自身の所有地や、散骨のために用意されている私有地などに散骨することが一般的です。他人の私有地に許可なく散骨することは違法となります。
国有地への散骨は基本的に違法ではありませんが、国有地であっても散骨を規制している地域があることや、国有地と私有地を判別することが難しいことなどを考えると、自分の所有地や散骨のために用意されている私有地を利用する以外の方法で山林散骨を行うことは、あまりおすすめできません。
自分の所有地に散骨する場合も、「穴を掘って遺骨を埋める」「散骨した上から土をかける」などの行為は違法となります。
宇宙葬
遺骨を上空に打ち上げて行う葬送方法を「宇宙葬」といいます。
宇宙葬には「バルーン散骨」「大気圏散骨」「月面供養」などがあり、中でも一般的なのは「バルーン散骨」です。バルーン散骨では、バルーンの中に粉骨したお骨を入れて成層圏に打ち上げます。成層圏に達したバルーンは破裂し、遺骨が散骨されます。
バルーン葬の他に、宇宙空間に打ち上げられた遺骨が人工衛星と共に地球を周り、数日〜数年後、成層圏に突入して燃え尽きるという「大気圏散骨」や、遺骨の一部をカプセルに納め、月面着陸船で月に送る「月面供養」というサービスを提供している業者もあるようです。
散骨する際におさえるべきポイント
埋葬許可証を保管する
埋葬許可証とは、火葬後に火葬場から返却される火葬許可証のことを指します。お墓や納骨堂に納骨する時に必要となる書類なので、埋葬をしない「散骨」には無関係と思われるかもしれませんが、散骨の際に埋葬許可証の提示を求める散骨業者もありますので、しっかり保管しておきましょう。
遺骨は粉骨する必要がある
前述した通り火葬後のお骨をそのままの状態で散骨することはできないので、散骨する前にパウダー状に「粉骨」する必要があります。粉骨を業者に依頼する場合、お骨のサイズによって金額は異なりますが、1万円〜3万円程度が相場となっているようです。近隣に粉骨を行っている業者がなければ、配送に対応している業者を利用すると良いでしょう。
散骨する場所に配慮する
「散骨の種類」の頁でもご紹介しましたが、散骨をする際には場所に配慮する必要があります。法律で制限されていないからといって、海や山林であればどこでも散骨して良いということではありません。
海洋散骨であれば生活圏や海水浴場、漁場等で散骨を行うことはマナー違反となりますし、山林散骨であれば他人の私有地や、散骨を禁止している国有地に散骨すると違法行為となってしまいますので注意しましょう。
散骨時の服装に注意する
納骨式の際は喪服を着用するので、散骨の際にも喪服着用がマナーだと思っている方もいるかもしれませんが、散骨の際は喪服ではなく平服を着用することが一般的です。散骨で喪服を着用してしまうと、周囲の人に不振がられたり、安全性に問題が生じたりする場合があります。
例えば海洋散骨で乗船する時、同じ船に乗る人は散骨の関係者ですが、港にはレジャーを目的として来ている人も多いため、喪服は場違いな雰囲気になってしまいます。また、動きにくい喪服を着用してしまうと船上での安全にも関わります。海洋散骨業者のホームページでも服装は平服を推奨しているケースがほとんどです。
山林散骨をする場合でも、山や林を喪服で訪れるというのは違和感がありますし、動きにくくて怪我につながることも考えられます。
以上の理由から、散骨時に喪服を着用することは避け、平服で参加することをおすすめします。
まとめ
・散骨とは、海や山林などに遺骨を撒く葬送方法です。
・散骨には海にお骨を撒く「海洋散骨」、山や林にお骨を撒く「山林散骨」、上空にお骨を撒く「宇宙葬」などがあります。
・散骨の際には遺骨を粉骨し、条例やマナーを守って行う必要があります。
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